おたふくかぜワクチンを2回接種しましょう ― 「ムンプス難聴」から大切な耳を守るために

今晩は。

以前から感じていたのですが、年長になってMRワクチンを接種に来られる患者さんでおたふくかぜワクチンをまだ1回しか接種していない、または一度も接種していないにもかかわらず、MRワクチンしか打たない方を当院では多く見かけます。

おたふくかぜワクチンはMRワクチンと一緒に2回とも接種するのがお勧めです。
ただし現時点ではおたふくかぜワクチンは自費ワクチンであり、当院では1回の接種で5,000円をいただいております。

何でお金がかかるのに接種した方が良いのか?
その理由を、今回はAIを使ってまとめてみました。
(内容は院長が確認し一部手直ししています)
お子さんを難聴から守るために大事な話なので、是非ご参照ください。


はじめに

「おたふくかぜは子どもがかかる軽い病気」――そんなイメージをお持ちではないでしょうか。

たしかに、多くのお子さんは1〜2週間で自然に治ります。しかし、おたふくかぜには**「治らない難聴」を残すことがある**という、あまり知られていない一面があります。

今回は、おたふくかぜワクチンをぜひ受けていただきたい理由について、当院の立場からお話しします。


おたふくかぜは「ムンプスウイルス」による感染症です

おたふくかぜ(正式には流行性耳下腺炎といいます)は、ムンプスウイルスが原因の感染症です。感染してから2〜3週間の潜伏期間を経て、耳の前や下にある耳下腺、あごの下にある顎下腺などが腫れて痛み、発熱します。

感染力は強く、感染してもまったく症状の出ない「不顕性感染」が30〜35%あります。「気づかないうちにうつしている/うつされている」可能性があるのが、この病気のやっかいなところです。


一番怖いのは「ムンプス難聴」です

おたふくかぜの合併症のなかで、私たちが最も警戒しているのが ムンプス難聴 です。

どのくらいの頻度で起こるのか

日本耳鼻咽喉科学会が2015〜2016年に実施した全国調査では、2年間で少なくとも348人がムンプス難聴を発症し、そのうち約300人に難聴の後遺症が残ったことが報告されました。

  • 約8割以上が、ほとんど聞こえなくなる高度難聴〜ろう
  • 多くは片耳の難聴
  • 両耳が聞こえなくなった方も16人おり、補聴器や人工内耳が必要に

おたふくかぜにかかった方のうち、おおよそ1,000人に1人の割合で発症するといわれています。

なぜ「特に怖い」のか

ムンプス難聴には、ほかの合併症と違う3つの特徴があります。

  1. 現在の医療では治せません。発症した時点で、聴力は基本的に戻りません。
  2. 子ども自身は気づきにくい。片耳だけが聞こえなくなることが多く、ご家庭でも発見が遅れがちです。
  3. 不顕性感染からも発症します。耳下腺が腫れない軽症例でも、難聴だけが残ることがあります。

「片耳だから日常生活は大丈夫」と思われるかもしれません。しかし、片耳難聴があると、雑音のなかで人の声を聞き分けることが難しくなり、学校生活や集団での会話に支障が出ることがあります。


そのほかにも、こんな合併症があります

合併症 頻度の目安
無菌性髄膜炎(発熱・頭痛・嘔吐) おたふくかぜ患者100人に1〜2人
脳炎 まれ(国内で年間約30人と推計)
精巣炎・卵巣炎 思春期以降にかかると頻度が上がる
膵炎 ときどき(強い腹痛・嘔吐)

特に思春期以降におたふくかぜにかかると、合併症の頻度も重症度も上がります。お子さんのうちに免疫をつけておくことが大切です。


ワクチンでしっかり防げます

おたふくかぜワクチンは、ムンプスウイルスを弱毒化した生ワクチンです。

  • 1回接種で約78%、2回接種で約88%の発症予防効果
  • 仮にかかっても、症状を軽くする効果が期待できます
  • 2回の定期接種を行っている国では、おたふくかぜの患者がほとんどいなくなっています

接種スケジュール(日本小児科学会推奨)

回数 接種時期 おすすめの同時接種
1回目 1歳の誕生日を過ぎたらすぐ MR・水痘ワクチンと同時に
2回目 小学校入学前の1年間(年長児) MR2期と同時に

「2回目を忘れてしまった」という方も、間に合います。気づいた時点でぜひご相談ください。


副反応について ― 正しく知って、正しく備える

ワクチンには副反応がつきものですので、正直にお伝えします。

  • 軽い副反応: 接種後2〜3週間に、耳下腺が軽く腫れたり微熱が出たりすることがあります。多くは数日で自然に治ります。
  • 無菌性髄膜炎: 数千人に1人程度の頻度で報告されています。

ただ、ここで知っておいていただきたいのは、自然にかかった場合の無菌性髄膜炎は100人に1〜2人と、ワクチンによる発症よりはるかに高い頻度だということです。「ワクチンで髄膜炎が心配」というご相談をいただきますが、ワクチンを受けないことのほうがリスクは大きいのです。


費用について

おたふくかぜワクチンは、日本では現在**任意接種(自費)**です。世界的にはMR(麻しん風しん)と同じく定期接種にしている国が多いのですが、日本では国の審議が続いている状況です。

十日市場こどもクリニックでは2026年5月現在、接種料金を5,000円で設定しています。
十日市場周辺のお子さん、当院かかりつけのお子さんには是非接種していただきたいので、当院では相場並〜やや安めの価格設定をしています。


おわりに ― 「かかってからでは取り返しがつかない」からこそ

おたふくかぜは、たしかに多くの子は元気になります。しかし、「治らない難聴」になるかどうかは、誰にも事前にわかりません。

くじを引いてしまったあとで後悔しないように、ワクチンという確かな手段で備えていただきたいと考えています。

1歳のお誕生日、そして年長さんになる時期――この2回の機会を、どうか逃さずに。ご不明な点は、いつでも当院までご相談ください。


【参考資料】

  • 日本小児科学会「日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール」(2025年5月19日改訂版)
  • 日本耳鼻咽喉科学会「ムンプス難聴 全国調査結果報告」(2017年9月)
  • 国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト「流行性耳下腺炎(ムンプス、おたふくかぜ)」
  • 厚生労働省 流行性耳下腺炎関連資料



如何でしょうか。
まだ打っていない、どうしようと思った方は当院で接種が可能です。
是非十日市場こどもクリニックのWeb予約から予約をお取り下さい。
またおたふくかぜワクチンに関して疑問のある方は、気軽に受診時にご相談ください。

当院では今後も十日市場こどもクリニックかかりつけの患者さん、そして十日市場周辺地域のお子さんに有用な情報を発信していきます。
今後ともよろしくお願いいたします。